第一巻は『誰も知らない小さな国』-Japanese Korobokkuru Story-
コロボックルのお話
第一巻は『誰も知らない小さな国』
作者:佐藤さとる
私の家計は代々、本を読むのが好きである。特に私の母はよく本を読む。
もちろん母も私も図書カードは持っているし、地元の図書館は全て庭の様な物だ。小学、中学、高校時代も学校の図書室は段ボールで作った秘密基地と同じように、お気に入りの隠れ家の一つだった。家にも大きくはないが母専用の2重の本棚がある。母が長年に渡り少しずつ集めた文庫本が端から端迄ぎっしりと詰まっている。母のとびきり大切な本だけなので、1冊借りるとすぐに何の本なのか彼女にはわかってしまうのだ。
宝物なのである。
コロボックル物語は母が若い頃にとても影響を受けた本。
私もこの物語は母の本棚からよく借りては読んでいた。
初めてアメリカに渡ったときは、3ヶ月という約束だったから、スーツケース1つで必要最低限のな生活用品と薄手の洋服数枚と、大学関係の本や書類しか持ってこなかった。
渡米して1年過ぎた頃に1度、日本へ帰国した時、母と古本屋巡りをした。
知っている人もいるかもしれないが、日本の古本屋は本屋ごとに紙のブックカバーのデザインが違う。チェーン店ではないと地元の作家が描いていたりして、本のサイズによってデザインが違ったりする。それを目当てに今でも少し遠い古本屋へわざわざ通う人もいる。(私の母が高校生時代に、とある古本屋へ通い詰めていたみたいに。)
これは私が最後に帰国したときに、日本で探しに探して集めたコロボックル物語全館。最後の一巻がどうしても見つからずに数十件歩き回った記憶がある。この物語、実は第一巻は1959年に作家による自費出版から始まった。
同帰国時に、他にも実家に残していた本や、新しく買った本(主に古本)と紙のブックカバーと、こちらに持ってきた。紙束と夢の詰まったやけに重いスーツケースとなった。日本では母と共通の本は1冊あれば良かったけれど、何せ、海の向こうの母の本棚から借りて読むのは難しい。
本は特別である。壁いっぱいの本棚のある生活が夢だったのだもの。
日本には個性的で素敵な物語がたくさんある。
多くのそれは、きっと私が生きているうちには他の言語には訳されないのでは、と感じる。
日本に生まれ育ったことが、私の中ではとても大事なことである。
私自信の作品は自分が幼い頃から経験した体験や感性がどことなく反映されている。
かれこれ3年以上帰国していないが、日本は私の愛する母国である。
作者:佐藤さとる
第一巻:だれも知らない小さな国
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